【介護】介護離職にならないための備えとは?(後編)
こんにちは!
川崎市中原区の介護系行政書士そうみです。
さて、前回は『介護離職』とはそもそもどういう状態を言うのか、どうしてそうなってしまうのか、をお話してきました。
今回は、ではその『介護離職』にならないために、どうすればいいのか?
仕事と介護の両立は可能なのか?
というテーマでお話していきます。
厚生労働省が平成24年に行った調査では、女性では実際に介護に直面している人はもちろん、まだ直面していない状況でも、仕事と介護の両立について「非常に不安を感じる」と答えた人の割合はほぼ変わらなかったのに対して、親が健在であるもののまだ介護が必要でない状況である男性では、同じ状況の女性に比べて「非常に不安を感じる」と答えた人は10%以上も少ないという結果が出ています。比較的、女性の方が現実的に将来を考えているのに対して、男性は問題が顕在化するまであまり考えていないということを表しているのかもしれません。介護の問題は、ある日突然に襲い掛かってきます。いざというときに困らないように、しっかりと備えておくことが大切です。
①職場の制度を知っておく!
わが国も、介護離職防止に向けて助成金を支給したり介護休暇をとりやすくするための制度を導入したりと、非常に力を入れています。普段なかなか見る機会はないかもしれませんが、ご自身の職場の「就業規則」をチェックしてみてください。そこには、介護休暇や短時間勤務制度などの記載があるはずです。自分の職場ではどういう制度が使えるのか、使いたいときに誰に申請すればいいのか、きちんと確認しておきましょう。介護は、何も恥ずかしいことではありません。前述したとおり、誰にでも起こり得る問題です。ひとりで抱え込むよりも、周囲にきちんと伝えましょう。
②介護保険サービスを知っておく!
介護休暇を取得したからと言って、介護が不要になるまでいつまでもずっと休めるわけではありません。自分ひとりで介護に専念しようとすると、精神的にも追い詰められてしまい、復職が難しくなってしまいます。介護保険サービスは、利用者負担が原則1割のみです。介護保険制度を正しく知り、利用できるものは賢く利用しましょう。ホームヘルパーの派遣(訪問介護)やデイサービス、ショートステイ等の介護サービスを利用したり、車椅子や電動ベッド等の福祉用具をレンタルするには、要介護(要支援)認定を受け、担当のケアマネジャーという人を探す必要があります。役所の介護保険課や、お近くの地域包括支援センターに行けば分かりやすい資料があるはずですので、何かのついでに寄ってみるのもいいでしょう。また、ケアマネジャーは今後長い付き合いになる重要な立場の人です。面談した上で、しっかり話を聴いてくれて、気軽に相談できる人を選びましょう。どうしても合わないようなら変更もできます。
③親や兄弟ときちんと話し合っておく!
お正月やお盆など、家族が集まる機会があれば、一度きちんと介護について話し合っておきましょう。介護が必要になれば、家族や親族の協力は不可欠です。また、子どもから親にはなかなか直接切り出しづらいかもしれませんが、きちんと本人の希望を確認しておきましょう。退職時や誕生日などのタイミングで、エンディングノートをプレゼントしてみるのもおすすめです。在宅サービスを受けたいのか施設に入るのか、自宅はどうするのか、本人の希望はもちろんですが、それを実現できるだけの資金があるのか。介護費用は、原則介護を受ける人の年金や貯金で賄うことになるため、ある程度財産についても把握しておきたいところ。ご自身でも、しっかりと子ども世代に伝えましょう。
④自分のことも大切にする!
前述のとおり、介護は出口の見えないトンネルです。平均は4~5年と言われていますが、10年以上に及ぶことも。ひとりで抱え込んでしまうと、介護者の方が身体的にも精神的にも参ってしまいます。介護者が倒れてしまっては、本末転倒です。きちんと自分自身の健康にも配慮し、意識的に息抜きの時間を作るようにしてください。周りに甘えることも大事です。自分自身に余裕がなければ、いい介護はできません。きちんと自分のことを褒めてあげて、たまには頑張っている自分にご褒美をあげてくださいね。
介護系行政書士 澤海志帆(そうみしほ)
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